郁文堂書店再生プロジェクト

INDEPENDET WORK

 

プロローグ

2016年、馬場正尊研究室の夏季休業課題として「空き物件のリノベーションを妄想せよ」という課題が与えられました。そこで私たちが対象物件として選んだのが郁文堂書店。郁文堂書店は山形市エリアリノベーションの象徴であるとんがりビルの隣にある、ちょっと不思議な建物です。シャッターを閉ざしているのにも関わらず、朝顔のグリーンカーテンが燦々と咲いている様子に心惹かれ対象物件に選びました。 シネマ通りは、かつて6つもの映画館があった山形の文化の拠点でした。朝から晩まで人が絶えず賑わっていたとのことです。ここで商売を営んでいた郁文堂書店は、斎藤茂吉や司馬遼太郎、井上ひさしなど名だたる文化人が訪れ、「郁文堂サロン」と呼ばれていたのだそうです。

私たちが提案したのは、郁文堂書店の1日復活。 山形ビエンナーレの最終日に、プログラムディレクターのひとりであるナカムラクニオ氏の協力のもと、「無人書店7次元」というイベントを開催しました。予想を超える100名以上の来場があり、本格的にリノベーションの可能性が見えてきました。

 

つながりを生む文学の拠点

郁文堂書店の1日復活を受けて、「新生・郁文堂書店」の計画が始まりました。 コンセプトは「人と人のつながり」から生まれる「人と本のつながり」、「人と本のつながり」から生まれる「人と人のつながり」。本のある空間を通じて、新しい出会いを創出し、文学の拠点を目指していきます。資金調達を目的にクラウドファンディングも実施し、まちの人たちの支援を受けて一体感をもってプロジェクトを推進していくことが実現しました。

 

知識の本棚がつなぐコミュニケーションの場

まず私たちが考えたのは、本を通じたコミュニケーションの場を作ることでした。私たちはレンタルできる本棚のみを用意し、書店内に「知識の本棚」を設置しました。自分だけの本棚を作って、まちに知識を蓄積していくことができます。「本棚を見ればその人がわかる」という言葉があるように、自己紹介をしなくても、自分の興味や趣味などが分かるかもしれないということで、ここがコミュニケーションのきっかけの場所になると考えました。

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クラウドファンディング

プラットフォーム:CAMPFIRE https://camp-fire.jp/projects/view/12383

プロジェクト期間:2016.11 - 2016.12

目標額:80万円

達成額:100万円

支援者数:148人

 

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担当者:OF THE BOX追沼翼 + 芳賀耕介

リターン協力:荒井良二・喫茶白十字

プロモーション協力:ナカムラクニオ