DENIM HOUSE BON
CLIENT WORK:株式会社ITONAMI
date
時期:2024年3月
所在地:岡山県倉敷市児島小川4丁目7-63
用途:宿泊施設
竣工:2024.03
プロジェクト期間:2023.12-2024.03
施工期間:2023.10-2023.02
credit
担当:OF THE BOX追沼翼
施工:なんば建築工房
電気工事:琴海設備
グラフィックデザイン:hoo design長野美鳳
撮影:堀内敦央
囲む設えで生まれる集い
この古民家は母屋、蔵、茶室、そして立派な風情ある庭から成り立ち、一時的に多拠点居住の拠点施設として活用されていた。そのため、簡易宿所としての整備が行われ、手を加えた痕跡を建物のあちこちに残していた。古くも美しいこの古民家の姿を残しつつ、家という形だからこそ、つくれる空気、行き届く意志。集まったみんなで囲む大切な時間を過ごして欲しいという願いをかたちにするべく、「囲む」ための空間を設計した。
廊下から各部屋にアクセスする昔ながらの日本住宅は、部屋の融通性や転用性が重視されていたため、食卓以外の強い共用部を持たない。囲むための空間をつくるため、あえてそれぞれの客室、そしてキッチンなどの共用部の中心となる和室の一部分を解体し、カーブが象徴的な縁側のある土間を設けた。
住宅に接続された蔵は、デニムのショールームへとリノベーションし、デニムブランドITONAMIのオリジナル製品や、さまざまな取り組みを紹介。彼らが手がけるデニムを家具のクッションや壁紙、畳縁など、随所で使用している。腰掛け待合の暖簾は、ITONAMIが展開するデニム再生プロジェクト「FUKKOKU」から生まれた不要なデニムから再生された。そのほかにも土間はライトデニムブルー、水回りはインディゴブルーで仕上げた。
『BON』という名前の由来は、漢字の「盆」だ。“皿”を“分”けると書いて、盆。日本にはお盆という風習があり、家族や親戚が集まる。気の置けない仲間と皿を分け合い、ゆっくりした時間を過ごしながら、岡山の食やものづくりの文化、そしてデニムの魅力を感じていただける空間になることを願っている。