LOCAL REPUBLIC AWARD 2020 プレゼンボード
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すずらん通りリノベーションプロジェクト

JOINT WORK:株式会社とみひろ・株式会社フォルム・株式会社リトルデザイン・株式会社アイショウ・株式会社デイアンド

 

date

リノベーション

所在地:山形県山形市香澄町

用途:複合ビル

構造:RC造

竣工:2019.06

プロジェクト期間:2018.03 - 2019.06

 

credit

担当:OF THE BOX 追沼翼(企画補助・店舗設計)

全体設計:株式会社リトルデザイン

施工:株式会社フォルム

DIYワークショップ:荒達宏

企画:株式会社リトルデザイン・株式会社アイショウ

 

award

LOCAL REPUBLIC AWARD2020 優秀賞

プロローグ

山形駅から徒歩5分の場所に、「すずらん通り」と呼ばれる通りがある。1957年から1963年にかけて、耐火建築促進法に基づき、通りの約200メートルにわたって防火建築帯が整備された。近年、山形市中心市街地では大型デパートが相次いで閉店し、商業だけで街の風景を維持することが難しくなっている。2018年、大学の先輩が代表を務めるデザイン事務所「little Design」から、防火建築帯の一角にある「とみひろビル」のリノベーション依頼が、学生起業していた私たちに寄せられた。

 

防火建築帯のリノベーション

すずらん通りは、この数年間で商店街から飲み屋を中心とした夜の飲食街へと変化してきた。夜には多くの人々が集まるが、朝や昼はシャッターが閉まり、閑散としていた。私たちは、朝から夜まで人が滞在し楽しめる場所として、山形のゲートウェイとなる空間を目指した。1階にコーヒースタンド、1階と2階にオフィス、2階と3階にメゾネット住居を設け、職住商の混在を計画した。これにより、防火建築帯の低未利用床の活用を促進し、新たな可能性を引き出したいと考えた。

 

まちと繋がり立ち上がる風景

カフェ、オフィス、住居などが混在するこの暮らしは、多くのまちの人々の関わりのなかで立ち上がった。基本設計と並行し、75%入居が確定。それぞれが領域を横断し、複数の役割を担いながら、一貫して当事者として参画していたことが特徴である。さらに、コーヒースタンドがビル管理を担うことで、現場の声を反映した運営が可能となっている。また、情報が少ないと言われる地方においても、印刷物の発行や定期イベントを通じて独立採算を確保し、町と関わる接点を多方面にわたって生み出している。

 

山形市エリアリノベーションの第2フェーズ

これまで私たちは、山形市のメインストリートから一本入った「シネマ通り」でエリアリノベーションを進めてきた。この通りは、2015年まではシャッター商店街と呼ばれていたが、今では新規出店やリノベーションが相次ぐエリアに生まれ変わった。2015年から2019年までに11店舗のリノベーションが実現し、「シネマ通りマルシェ」を通じて商売の可能性が示され、「空き物件ツアー」によって借り手とのマッチングが行われた。これにより、民間事業者がまちを知り、風景を形づくるきっかけが広がった。この流れを汲み山形駅前のすずらん通りを「第2フェーズ」と位置づけ、次なる波及を目指している。